「無題(仮)」
NDZの作品出したけど、やっぱなんかなぁ~って。
で、お題のワードから連想するものをだしまくってストーリーを書いてみた。
が、、、、長すぎ!1分以内では無理!
でも、なんか、いい感じにできたので読んでみてくれる?www
chatGPTにタイトル作らせたんだけどいまいちだったwww
【第一章:夏の庭と風鈴の音】
蝉が鳴き止まぬ昼下がり。
僕は祖母の家の裏庭で、ひとり缶蹴りの缶を蹴っていた。誰もいないのに。
そんな僕に声をかけてきたのは、小さな女の子だった。
麦わら帽子に白いワンピース、少し日焼けした頬と、大きな黒い瞳。
「……あそんでいい?」
不思議なほど静かな声だった。
その子――奈々枝(ななえ)は、都会に住んでいて、夏休みの間だけ祖母の家に来ているのだという。
親の都合で、誰とも遊べず、ひとりで過ごしていたらしい。
「俺、イッチ。よろしくな」
「イッチ?」
「イチローだけど、みんなイッチって呼ぶんだ」
それから僕たちは、毎日遊んだ。
蝉を追いかけ、川に飛び込み、夜には手持ち花火をした。
あの夏のすべてが、奈々枝との記憶だった。
別れの日、僕は家にあった布の切れ端とボタンで、小さなキーホルダーを作って渡した。
不器用な作りだったけど、奈々枝は嬉しそうに笑って「宝物にするね」と言った。
【第二章:すれ違う二人】
それから五年が過ぎた。
僕は高校生になった。
都会の高校に通うことになり、クラスメイトの名前もまだうろ覚えのまま。
その中に、どこか見覚えのある女の子がいた気がした。
でも確信が持てなかった。声も、背丈も、全てが違っていたから。
──まさか、奈々枝?
そう思いかけたが、その子は僕のことを一瞥もくれずに通り過ぎていった。
それから3年。同じ高校だったのに、話すこともなかった。
卒業式の日、駅のホームで偶然奈々枝とすれ違った。
彼女のカバンに、あのキーホルダーがぶら下がっていた。
「……奈々枝!」
僕は叫んだ。だが、電車の扉は閉まり、車両は動き出す。
彼女が振り返ったその瞬間、目が合った。けれど、声は届かない。
そして、彼女はそのまま去っていった。
【第三章:行方不明の君】
どうして、気付かなかったんだ――。
高校の卒業名簿を調べ、彼女の名前を見つけた。
奈々枝。確かに同じクラスにいた。だけど、誰ともあまり話さなかったらしい。
住所に行っても、もうそこには住んでいなかった。
電話も「現在使われておりません」。
手がかりは、なかった。
あの夏の続きを、一緒に見たかったのに。
【第四章:記憶の中の声】
久しぶりに訪れた美術館。
懐かしい同期から「君が興味ありそうな展示があるよ」と誘われ、何となく足を運んだ。
テーマは「夏の記憶」。
展示室の奥。そこで僕は、息をのんだ。
そこにあったのは、一枚の絵。
川辺で笑う少女と、影になった少年。
風にそよぐ麦わら帽子。
そして、キャンバスの下に、小さくぶら下げられたボタンのキーホルダー。
あれだ。
僕が、あの夏に奈々枝にあげた、あの手作りのキーホルダーだった。
タイトルはこう記されていた。
『最初で最後の、恋の夏』
― 遺作展 ― 七海 奈々枝
頭が真っ白になった。
隣にいたスタッフに尋ねる。
「この作品……作者の方は、奈々枝さんは…?」
スタッフは静かに頷いた。
「昨年、病気で亡くなられました。
闘病の最後に描かれたのが、これです。
遺言のように、この展示だけを望んでおられました」
「……」
「ご家族の方が仰っていました。
“最後まで一人の男の子のことを話していました”って。」
涙が、止まらなかった。
ずっと、忘れられなかったのは――僕だけじゃなかったんだ。
僕はただ、キーホルダーを見つめながら立ち尽くした。
声をかけていたら、あのとき。
もっと早く、見つけていたら――。
でも、もう、遅かった。
【終章:夏のつづき】
――それから、数十年が経った。
僕は今、岩手の実家で静かな老後を送っている。
今日は、息子夫婦が孫娘を連れて帰ってくる日。
夕暮れの縁側でうたた寝をしていると、元気な声が聞こえた。
「じぃじー! 来たよー!」
パタパタと走ってくる少女。
その肩にかけられた小さなカバンのファスナーには、あの時のキーホルダーが揺れていた。
風鈴が、切なくカラリと鳴った。
――でも今は、どこかやさしい。